

放送大学を見ていて、高橋和夫先生が、ニューヨークのことを、ユダヤ人がとても大勢いることを踏まえて、「ジュー・ヨーク」と良く言われると教わった。
ユダヤの民は、ヨーロッパのキリスト教徒から迫害を受けて来た。
それで、新天地のニューアムステルダム(ニューヨーク)に大勢が移り住んだ。
ニューヨークのユダヤ人は、お金持ちの富豪も居れば、貧乏な人もいて、ユダヤ人をひと固まりと見る見方は間違っていると言われる。
しかし、トランプ政権もそうだし、そもそもアメリカのホワイトハウスなどは、たいていユダヤ系の人が重要閣僚になっていますね。
ユダヤ系の、議会へのロビーイングも盛んだと言われている。
今回は、そのユダヤの人たちの歴史を現代ビジネスで解説してるので、紹介します。
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[ 現代ビジネス ] 民族と文明で読み解く「ユダヤ人」1.キリストの容貌は、実際はアラブ人に近かった
イエス・キリストはパレスティナのベツレヘムで生まれたユダヤ人です。
しかし、イエスは絵画などで白人のヨーロッパ人男性として描かれてきたために、イエスが白人であるかのようなイメージが定着しています。
また、聖母マリアもほとんどの絵画で白人女性として描かれています。
前回の記事で述べましたように、ディアスポラ(離散)以前、ユダヤ人は白人との混血をまだ進めていませんでした。
ローマ帝国がシリア・パレスティナ地方を版図に組み入れますが、白人の入植者は決して多くはありませんでした。
もしイエスの本当の容貌を復元できるとするならば、我々はそれを見て、瞬時に「アラブ人だ」と思うでしょう。
イエスの髪の毛の色は金髪や赤茶ではなく黒で、眼の色も青ではなく黒であった可能性が高いでしょう。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」では、イエスの髪の毛は赤茶で描かれています。
ユダヤ人はそもそもアラブ人と同じセム語派に分類されます。
ユダヤ人の言語であるヘブライ語もセム語族の一つです。
インド・ヨーロッパ語派とは明らかに異なる民族です。
それにもかかわらずイエスを白人のように描写するのは、イエスを同族としたいヨーロッパ人の思惑があったのだと批判されています。
特に反人種差別団体は、イエスが白人として描かれている壁画や絵画は白人至上主義の擁護に使われているとして、公共の場から撤去すべきだと極端な主張をしています。
神であるイエスは白人であるべきとする暗黙の了解がヨーロッパ白人の中にあったのは間違いないでしょう。
イエスが中東人のような容貌では、白人にとって都合が悪かったのは言うまでもありません。
『旧約聖書』によると、ユダヤ人とアラブ人は共通の祖を持ちます。
アブラハムは奴隷の妾にイシュマエルを生ませます。
このイシュマエルの子孫がアラブ民族となったとされます。
後にアブラハムの正妻が生んだイサクの子孫がユダヤ民族となったとされます。
ユダヤ人はアブラハムの正妻の嫡出子の系統であることを誇り、アラブ人を奴隷の妾の子であると見下しました。
ユダヤ人とアラブ人はほぼ同族であるにも関わらず、歴史上一貫して、対立しており、それは今日にまで引き継がれています。
2.「ユダヤ人」の定義とは
では、ユダヤ人とは、いったいどのように定義される民族なのでしょうか。
現在、イスラエルの法律では「ユダヤ人はユダヤ人の母親から生まれた人、またはユダヤ教に改宗を認められた人」(「イスラエル帰還法」より)と規定されています。
ユダヤ人は古来、ユダヤ法で、ユダヤ人の母を持つ者をユダヤ人とするという思想を受け継いでおり、それがイスラエルの国法にも反映されています。
父親がユダヤ人でも、母親が非ユダヤ人の場合、子供はユダヤ人ではないとみなされることもあります。
子供の父親が誰かは分からなくても、母親から生まれた子は確実に母親の子であるため、母親がユダヤ人ならば、ユダヤ人の血は受け継がれていると考えられています。
しかし、これらは厳格な定義であって、実際には、ユダヤ社会で、母親が非ユダヤ人で父親がユダヤ人という場合でも、その子はユダヤ人とみなされます。
アシュケナジム と セファルディム
ディアスポラの中で、ユダヤ人は大きく三つのグループに分かれます。
ドイツやフランス、そして東欧に移住したユダヤ人は「アシュケナジム」と呼ばれます。
「アシュケナジAshkenazi」とはヘブライ語で「ドイツ」を意味します。
イベリア半島スペインに渡ったユダヤ人は「セファルディム」と呼ばれます。
「セファルディSephardi」はヘブライ語で「イベリア」の意があるとされます。
さらに、セファルディム系ユダヤ人はポルトガル、イタリアなどの南欧諸国、トルコ、モロッコやアルジェリアなどの北アフリカにも拡がります。
フランスにはアシュケナジム系ユダヤ人とセファルディム系ユダヤ人が半々くらい居住しているとされます。
ディアスポラ後もパレスティナをはじめ中東地域に留まったユダヤ人は「ミズラヒム」と呼ばれます。
ヘブライ語で「ミズラ」は「東」の意味です。
セファルディムは当初、イベリア半島で居住し、後ウマイヤ朝などのイスラム教勢力の支配下で、イスラム教徒から「啓典の民」として寛大な措置が取られていましたが、1492年、キリスト教勢力がイベリア半島からイスラム勢力を駆逐し、レコンキスタが完了すると、キリスト教徒はユダヤ人を迫害しはじめました。
ユダヤ教徒追放令なども発布されます。
セファルディムの多くが北アフリカや中東に移住し、また、オランダ、イギリスにも移住します。
オランダやイギリスのユダヤ人はおおよそ、セファルディム系のユダヤ人です。
3. 経済力で異国に力を持つ
イギリスで、19世紀に活躍したイギリス首相ベンジャミン・ディズレーリもセファルディム系ユダヤ人です。
1875年、ディズレーリがスエズ運河会社の株式を買収する際に、同じユダヤ人のロスチャイルド財閥の資金提供を受けます。
この時、ロスチャイルドは「閣下、融資の担保はどうさせていただきましょうか」と問うたのに対し、ディズレーリは「大英帝国が担保である」と応じました。
ディズレーリの姓は、彼の祖父が「デ・イズレーリD'Israeli」と改称する前、「イスラエリIsraeli」でした。
これは「イスラエル」のことです。
「イスラエル」はかつて、ヘブライ王国から分離したユダヤ人の古代国家で、今日のパレスティナの国号にも使われています。
ヘブライ語で「イスラ・エルYsra-el」は「神(エル)が支配(イスラ)する」という意味です。
「デ・イズレーリ」の「デ」は「de」であり、スペイン語やイタリア語の「de」は英語の「of」にあたる前置詞です。
つまり、「イスラエル出身の」という意味になります。
この「デ・イズレーリD'Israeli」が更に「ディズレーリDisraeli」に改称されます。
いずれにしても、ユダヤ人であることを誇示した姓です。
ディズレーリはイタリア系セファルディムの家柄で、祖父が18世紀、イタリアからイギリスに移住し、株式仲買人として成功します。
しかし、ディズレーリは自分の家がスペイン系セファルディムであると主張していました。
当時、セファルディムはイタリア系よりもスペイン系が高貴で裕福であるとする一般認識があり、ディズレーリがスペイン系にこだわったのは、こうした背景があるとされています。
ちなみにディズレーリ家がスペイン系セファルディムであったという根拠はありません。
16世紀、スペインの台頭とともに、スペイン系セファルディムで富豪になった者が多くいました。
しかし、フェリペ2世がカトリック政策を強化すると、スペイン系セファルディムはオランダに亡命しました。
そして、17世紀、彼らはオランダの台頭とともに、更に富を蓄えます。
オランダの哲学者スピノザの一家などは、こうしたセファルディム系ユダヤ人の典型でした。
金融業などで成功した商才豊かなユダヤ人はヨーロッパ各地で尊敬されて、畏れられると同時に、迫害や差別を受けました。
ユダヤ人は自らの国を持たない少数民族です。
兵力数で強者に抗っても、勝てる見込みはありません。
そこで、ユダヤ人は異国に根を広げ、カネを稼ぎ、経済力によって、力を持とうと考えたのです。
特に、イギリスのように18世紀以降、議会制民主主義の進んだ国家に進出し、資金を提供することによって権力を掴んでいきます。
こうしたユダヤ人の徹底した姿勢が反発を生み、差別や迫害の一因となります。
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著者 宇山 卓栄 TAKUEI UYAMA
1975年、大阪生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。
代々木ゼミナール世界史科講師を務め、著作家。
テレビ、ラジオ、 雑誌、ネットなど各メディアで、時事問題を歴史の視点でわかりやすく解説。近著に 『朝鮮属国史---中国が支配した2000年』、『韓国暴政史---「文在寅」現象を生む民族と社会』(以上、扶桑社新書)、『民族で読み解く世界史』、『王室で読み解く世界史』(以上、日本実業出版社)、『世界史で読み解く天皇ブランド』(悟空出版)、その他著書多数
https://gendai.media/list/author/takueiuyama