ローマ教皇が過去のカナダインディアンの文化や言語を破壊するための政策「文化的ジェノサイド(集団虐殺)」に謝罪

ローマ教皇が過去のカナダインディアンの文化や言語を破壊するための政策「文化的ジェノサイド(集団虐殺)」に謝罪

ローマ教皇、カナダ先住民に「深くおわび」 同化政策の寄宿学校は「悲惨な誤ち」

ローマ教皇フランシスコは25日、訪問先のカナダで演説し、カトリック教会が運営していた先住民同化政策の寄宿学校で先住民の子供が虐待を受けていた問題をめぐり、サバイバー(被害を生き延びた人)に許しを請いたいと述べた。

ローマ教皇はアルバータ州エドモントン近郊マスクワチスの寄宿学校敷地内で、「深くおわびする」と述べた。

また、カナダで大半の寄宿学校を運営・管理していたカトリック教会の多くのメンバーの行為に対して「悲しみ、憤り、恥」を感じたとした。

ローマ教皇はこの学校制度は「悲惨な誤ち」だとし、先住民に対して「あまりに多くのキリスト教徒が犯した悪行について」許しを請いたいと述べた。

そして、謝罪は最初の一歩に過ぎず、癒しを促進するために虐待に関する本格的な調査が実施されなくてはないとした。

カナダでは昨年6月、サスカチュワン州の寄宿学校跡地で無記名の墓が751基見つかった。

同年5月にも、ブリティッシュコロンビア州の寄宿学校跡地から子ども215人の遺骨が見つかった。

カナダには19~20世紀、先住民の若者の同化を目的とした強制的な寄宿学校が130校以上あった。

カナダ政府が資金を出し、宗教団体が運営していた。

こうした学校は、先住民の文化や言語を破壊するための政策の一環だった。

ローマ教皇のカナダ訪問は、寄宿学校について謝罪するためのもの。教皇はこの旅を「改悛(かいしゅん)のための巡礼」と呼んでいる。

演説には先住民ファースト・ネイションズやメティス、イヌイットのサバイバーや先住民の指導者たちが立ち会ったほか、ジャスティン・トルドー首相と初の先住民出身のカナダ総督に就任したメアリー・サイモン氏が出席した。

謝罪を受け、サバイバーからは拍手が起きた。

演説を聞くために遠方から足を運んだ人もいた。

演説に立ち会った寄宿学校のサバイバー、ブルース・アラン氏は、ローマ教皇の謝罪に感情が動かされたとしつつ、
依然として多くの人がローマ教皇の対応を求めていると話した。

「おそらく多くのサバイバーは、今もかなり怒りを感じていると思う」と、アラン氏はBBCに語った。

多くの人は、寄宿学校の約7割を運営していたカトリック教会が果たした役割について、教皇からの謝罪を求めている。

教皇は演説に先立ち、地元の教会で指導者と個別に面会し、寄宿学校の生徒の無記名の墓もあるとみられるアーミンスキン・クリー・ネイション墓地で黙とうを捧げた。

アーミンスキン寄宿学校跡地は、教皇が今回の訪問で最初に足を運ぶ場所の1つ。

寄宿学校の運営は1870年代から始まり、1996年に最後の学校が閉鎖されるまで続いた。

その間、約15万人のファースト・ネイションズやメティス、イヌイットの子どもたちが家から連れ去られ、学校に入れられた。

2015年に真実和解委員会(TRC)が公表した、先住民同化政策をめぐる調査の転機となる報告書では、寄宿学校で虐待や病気、栄養失調にさらされたと、サバイバーが公に語っている。

寄宿学校では生徒3000人以上が死亡したと考えられている。

TRCは報告書で、寄宿学校はカナダの先住民に対する「文化的ジェノサイド(集団虐殺)」の中心的要素だったと指摘した。

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