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日本語を話せない中国人が日本に大勢移住して来ている。
彼らは中国人が大規模マンションを一棟まるごと買って、中国人だけで住んで居る。
そして買い物は中国人街で買い物。学校は中華系のフリースクール。そして仕事は中国人のネットワークだけで完結する。
だから、日本語は必要ない。日常生活は全て中国語。
日本国の中に半ば独立国、もしくは中国人自治区が成立している。
日本人は増え続ける中国人とどうやって折り合いを付けて行くのか?
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なぜ「日本語が話せない」在日中国人が急増しているのか…国内にじわじわ広がる「巨大中国経済圏」の実態
衣食住すべてが中国企業のサービスで完結する
https://president.jp/articles/-/85720
1.日本に住む中国人の数は年々増え続けている。
出入国在留管理庁によると、23年末時点で約82万2000人を超えており、山梨県の総人口に匹敵する。
ジャーナリストの中島恵さんは「在日中国人は日本人相手にビジネスをせず、中国人間で取引する独自の経済圏を形成している」という――。
※本稿は、中島恵『日本のなかの中国』(日経プレミアシリーズ)の一部を再編集したものです。
20代~30代で「高度専門職」と「経営・管理」ビザが多い。
23年12月時点で、在日中国人は約82万2000人(出入国在留管理庁)。
山梨県(約80万3000人)や佐賀県(約80万1000人)の人口に相当し、全在日外国人の約3分の1を占める。
中国人の人口で最も多いのは東京都、続いて埼玉県、神奈川県の順。
全人口の半数以上が東京近郊や大阪などの首都圏に集中しており、2000年以降、ほぼ右肩上がりで増えている。
同統計によると、在留資格別では「永住」が最も多く、次に「留学」、「技術・人文知識・国際業務」となっている。
近年増えているのは「高度専門職」(高度な知識・スキルにより日本の経済発展に貢献する外国人のための在留資格)や「経営・管理ビザ」の取得者だ。
年齢別では、20~39歳の「働き盛り」が全体の半数を占め、男女比では女性が男性よりやや多い。
かつてのような「不法滞在者」や「犯罪者」は大幅に減少している。
「私にもチャンスがあると思いました」
これが在日中国人の概要だが、このように、身近にいながら、実際はよく知らない在日中国人の実態を知り、情報をアップデートすることは、私たちが暮らす日本社会を客観的に見つめることにもつながる。
日本の中国人社会は、人口増加、経済力の増大、SNSの発達、中国から新たに流入してきた富裕層の影響などにより、昨今、急速に変貌している。
そして、私たち日本人の知らない間に、彼らは、彼らだけの「経済圏」を作り上げている。
私は建設・リフォーム事業などを手掛ける『三栄グローバル』取締役の周勇強氏をたずねた。
周氏は福建省生まれ。来日して、千葉大学工学部で学んだ。
卒業後、静岡県で親戚が営む飲食店を手伝ったとき、東京から店にきていた中国人の内装業者の会話が聞こえてきた。
ちょうど東京オリンピックの開催が決まった時期で、景気のいい話をしている。
周氏は興味を持ち、早速行動に移した。
「東京に戻って内装関係の会社を探しました。スーツを着て面接に行くと、『内装会社にスーツを着て面接に来る人なんて初めてだよ』と日本人の社長にいわれました。
内装業界は学歴がなくても入りやすく、競争が激しいのですが、業界の明確なルールはなく、親方によってやり方がバラバラ。
私にもチャンスがあると思いました」
2.なぜ「中国人向けの内装業」が成り立つのか
「社長は私のやる気を認めてくれ、将来独立したいという夢も応援してくれました。
この会社で最初は現場管理と実技を学びました。
業界には『軽天屋』(軽量鉄骨の職人)、『水道屋』、『電気屋』などと呼ばれる分野があるのですが、私は『軽天屋』から始め、すべての業務をこなせるようになりました」
その後、もとの内装会社との関係は保ちつつ、以前立ち上げた『三栄グローバル』の仕事も兼業した。
内装の営業、工事などを中心に、不動産、整体店など事業を拡大、複数の整体店も経営している。
周氏が営む内装業の顧客は中国人の知人の口コミなどで自然と増えていったという。
「在日中国人が不動産を買い、その内装を依頼してくれるようになりました。
当社は中国人の社員が多いので、中国人顧客の好み、要望に応えられます。
中国国内では基本的にマンションはスケルトンでの販売。
内装や照明などはすべて顧客が手配します。日本では顧客が手配する必要はないのですが、中国のように自分好みに変えたいというお客さんも多い。
そこに需要がありました。
管理組合に申請すれば内装を自由に変えられるマンションもあって、その申請も私たちが代行します。
間接照明を提案したり、室内に映画観賞などで使うプロジェクターを設置したり、臨機応変に対応しています」
[仕入れ先も作業員も顧客もほとんど中国人]現在は顧客の7割が中国人となった。
仕事が増えるにつれ、内装業の仲間の紹介で、壁紙などの資材も在日中国人が経営する問屋から仕入れるようになった。
その結果、仕入れ先、作業、顧客、すべてが中国人となっている。
最近、日本にやってきた富裕層は民宿や飲食店の経営にも乗り出しており、周氏はそのサポートも担っている。
「あるお客さんが神奈川県鎌倉市に約3億円で民泊用の不動産を購入したので、内装などをお手伝いしました。
その宿泊客も中国人観光客です。中国人富裕層が飲食店を開業する場合、内装だけでなく、店内の設計、看板のデザインなども私たちが行います」と周氏は語る。
内装業者はもともと中国人が多く、中国人顧客の需要もあるので、当然、業界に参入しようとする中国人は数多い。
周氏は「東京で内装全般を行う中国系の会社は、私が知る限りで7~8社はあります。
ライバル関係ですが、コロナ禍など、大変なときには助け合いました。
ロシアとウクライナの戦争の影響で、世界的に木材が不足していますが、そこでも融通し合ったりして、常に情報交換しています」という。
3.[衣食住すべてが中国企業のサービスで完結する]
「顔認証システム」も中国企業から仕入れる
コロナ禍のとき、周氏が手掛けるようになったのが顔認証システムの設置だ。
顔認証は日本より中国で先に取り入れられ、企業やホテル、学校、商業施設などさまざまな場所で使われている。
同社が設置している顔認証システムもまた、都内にある中国人の企業『天時情報システム』が開発している。
周氏の友人が天時情報システムに勤めていたことから、周氏と社長が知り合い、仕事に結びついたという。
東京・中央区にある『天時情報システム』社長の武藤理恵氏。
武藤氏は黒竜江省生まれ。黒竜江大学でコンピュータを学んだのち、96年に来日。IT企業でプログラマーとして働いたのち、2006年に自身の会社を立ち上げた。
同社の柱となる事業は、顧客にSEの技術などを提供するシステムエンジニアリングサービス(SES)。
社員の8割が中国人だ。日本に在住していたり、中国から直接採用したりしたSEが在籍している。
同社が19年から手がけるのが顔認証システム事業だ。
きっかけは、武藤氏が18年に中国・深圳に出張し、テンセント、ファーウェイなどの大手企業を見学して、最新の技術を真に当たりにしたことだった。
[入館証よりも早く、衛生的でなりすましも防げる]「日本に長く住み、『中国は遅れている』というイメージを持っていたので、その発展ぶりに衝撃を受けました。
同時に、発展した母国を誇りに思いました。
もともと来日したのは、日本で最新の技術を勉強したい、いつか中国に帰って貢献したいと思ったからでしたが、日本よりも進んでいる技術が中国にあるならば、それを日本に導入したいという思いました」(武藤氏)
そこで開発した顔認証システムは、当時、日本で導入している企業は少なかったが、調査の結果、今後、需要が拡大すると判断。
中国でOEM製造し、販売を開始した。
販売先はゼネコンなどの一般企業やマンション、スポーツジム、シェアオフィス、ホテル、物流倉庫、工事現場の事務所などだ。
設置工事は、周氏の『三栄グローバル』のような中国系企業が行う。
日本の工事現場はアルバイトが多く、日々、現場が異なる場合がある。
現場事務所に入る際、紙に印刷したQRコードは紛失リスクがあるが、顔認証なら心配はない。
武藤氏によると、顔認証システムは、なりすましを防止でき、入館証の発行や管理が不要、非接触のため衛生的にも安心で、認証スピードが0.5秒と速い点など利点が多い。
4.[日本の中に、中国系だけの「経済圏」を形成している]
新型コロナ禍では、認証と同時に検温もできる点が顧客に喜ばれ、急速に需要が増えた。武藤氏はいう。
「勤怠管理もでき、イベント会場などでも利用できます。
中小企業はまだ紙での管理が多いですが、これから確実に利用者が増えていくと思います」
同社は、中国ではかなり定着している清掃ロボットなども日本企業に販売する。
「人手不足が深刻化し、清掃や介護用のロボットが必要とされる時代になります。
日本市場でも活用できることがたくさんあるので、中国のいいものはもっと日本に取り入れたい。
そこに、私たち中国系企業の役割もあると思います」(武藤氏)
これらのように、中国系だけで「経済圏」を形成している一つがインバウンド事業で、とくに団体旅行客の訪日旅行だ。
団体旅行の場合、中国の旅行会社で手続きして来日するが、日本到着後、受け入れるのは中国系旅行会社であることがほとんどだ。
中国で団体旅行を実施できる旅行会社は政府の認証が必要で、その旅行会社は、日本の中国系旅行会社と契約している。
15年の「爆買い」ブームの頃、福岡県の箱崎埠頭に到着する中国のクルーズ船の取材をした。
約5000人の乗客の9割が中国人で、彼らが分乗する観光バスのガイドも全員中国人だった。
[中国人相手の土産物店、違法な白タクも…]
九州北部の三県から集められた、30台以上はあろうかという大型観光バスの運転手は日本人だったが、案内するのは中国系の免税大手『ラオックス』や、中国人経営の土産物店などで、対応する販売員もほぼ中国人だった。
中島恵『日本のなかの中国』(日経プレミアシリーズ)中島恵『日本のなかの中国』(日経プレミアシリーズ)
個人客の場合は、友人のSNSなどを見て自分で観光地を探す。
彼らは情報収集力があるので、むしろ、できるだけ中国人の店員がいない店に行くが、それでも空港などでは利便性と時間の節約を考えて、中国人運転手の違法な白タクを利用することもある。
ウィーチャットで送迎の依頼を受け、中国の決済機能、ウィーチャットペイで支払う。
日本のシステムを利用しないため発覚しにくく、摘発が難しいといわれている。
こうした一連の流れを中国語では「一条龍」(イーティアオロン=一匹の龍)と表現する。
「中国式エコシステム」ともいい換えられるが、最初から最後まで首尾一貫して中国人だけで回る経済圏、経済ネットワークになっているという意味だ。
日本の観光地やホテルを巡り、日本にお金は落ちているものの、関連ビジネスはほとんど中国系企業、中国人で占められている。
ハードは日本だが、ソフトはすべて中国人なのだ。
https://president.jp/articles/-/85720
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大阪のマンションで“家賃が突然2倍に”大騒動
民泊需要を狙って中国系不動産会社が一棟買い
着々とリフォーム進み、住民は続々退去
大阪のマンションで“家賃が突然2倍に”大騒動 民泊需要を狙って中国系不動産会社が一棟買い、着々とリフォーム進み、住民は続々退去
住宅街の民泊施設から出てきたと思われる外国人観光客
1.「なにわの台所」として知られ、1日2万4000人の外国人観光客が訪れる「黒門市場」。
そこから歩いて10分ほどのところにある大阪府内のマンションで今、騒動が起きている。
住人が、突然オーナーから「家賃を2倍にする」と通告されたというのだ。
マンションの住人は言う。
「2月に突然、『管理会社とオーナーが変わった』という趣旨の連絡があり、管理会社から、『オーナーの意向で6月の家賃から4~9階は一律18万に変更します』と通達がきたんです。
これまで家賃9万円でしたが、いきなり倍です。『払えるわけない』と半数以上の人が出ていってしまった」
「突然の値上げ」の背景には、円安に伴うインバウンド特需があった。
「引っ越していった人によると、管理会社から『出ていった人の部屋は民泊にする』
『民泊になると中国人の旅行客がたくさん来てゴミや騒音が酷くなることが予想される』と退去を促されたそうです。
調べてみると新しいオーナーは中国系の不動産会社で、建物を一棟買いしたようです。
この辺りは観光客に人気のエリアなので、民泊需要で儲けようと住民を追い出すために突然の値上げを通告したのでしょう。
オーナーに家賃値上げの根拠となる資料等を要望しましたが、反応は一切なく困惑しています」(同前)
2. 5月以降、ゴミの回収がいったん止まったことで、マンションのゴミ置き場にはゴミが散乱
値上げ通告があった今年2月から、マンションの様子は一変したという。
「管理人が不在になり、ゴミ捨て場の清掃が一切行なわれなくなりました。5月には外部委託のゴミ収集車が来なくなったために建物前の路上にまでゴミが溢れかえるようになってしまったんです。
その後、市のゴミ回収車が来るようになりましたが、ゴミ捨て場の清掃はされないまま。
これじゃあ、“令和の地上げ”ですよ」
法的には、突然の家賃値上げに応じる必要はない。
「借地借家法は、契約違反がなければ、貸主が立ち退きを求める正当事由がない限り、立ち退きを認めていません。
また、賃料の値上げは、裁判をしない限りは、双方の合意がなければできず、借主が一方的に値上げすることはできない」(東京借地借家人組合連合会常任弁護団の種田和敏弁護士)からだ。
それもあってか、この「家賃2倍」騒動が6月上旬に関西テレビの番組で報じられると、しつこく値上げを通達する動きは止まったという。
だが、その後に新たな動きも出てきていた。
3.中国人なら1泊1万円出す
6月下旬、同マンションを訪れると、ビル全体にガタガタ、バターンといった音が響いている。
部屋のガス給湯器や電気メーターなどが新品に取り換えられ、空室となった部屋のリフォームが進んでいるのだ。
「着々と民泊に転用する準備が進んでいるようで、残っていた人も気味悪がって引っ越している。
正直住み続けていいのか不安です」(現在も暮らす住人)
ここで見られるのは、“激安ニッポン”の不動産が中国などに爆買いされる構図だ。
全国紙経済部記者が言う。
「円安の日本で中国人観光客などの財布の紐は緩んでいるから、マンションの一室を民泊として貸し出せば、一人あたり1泊1万円以上の高価格でも泊まってくれる(大阪府などで認められる特区民泊は2泊3日以上の滞在が条件)。
そうなると建物のオーナーになった中国人からすれば、日本人から月9万円で家賃収入を得るより、断然お得という話です」
マンションオーナーの不動産会社を直撃したが、「答える必要はない」と言うのみ。
管理会社も取材に応じなかった。
4. こうした民泊は国家戦略特区法と大阪府・市の条例に基づくいわゆる「特区民泊」だ。
大阪市経済戦略局観光課に認識を聞くとこう答えた。
「特区民泊の条件を満たしていないのであれば対応するが、不動産の所有者が民泊で稼ぐために家賃を不当に上げたというケースは民間同士の契約の話になるので、市として対応する話ではない」
インバウンド特需は大阪だけの話ではない。前出・種田弁護士が言う。
「東京でみられるのはマンションの住人を追い出して更地にし、商業ビルなどを建てるパターン。
建物を民泊にする例は聞かないが、この世界では“大阪でこのやり方がうまくいった”となると、東京でも真似する業者が出てくるのが常です」
日本人の生活に身近な様々な局面で“安い国”であることの弊害が顕在化している。
※週刊ポスト2024年7月12日号
大阪のマンションで“家賃が突然2倍に”大騒動 民泊需要を狙って中国系不動産会社が一棟買い、着々とリフォーム進み、住民は続々退去
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中国人の海外脱出が急増中!
「潤」で日本移住→タワマン爆買い・インター入学する“新しい中国人”とは?
https://diamond.jp/articles/-/337495
1.最近、街で中国人が増えたと思ったことはないだろうか?
観光客ではなく、日本に住んでいる中国人だ。
これは気のせいではなく、在留資格を得て日本に中長期滞在する中国人が増えている。
さらに、中国人が増えているのは日本だけではない。
今、続々と中国人が中国を出て海外へ移住しているのだ。
どんな人たちが、どんな理由で中国を脱出しているのだろうか?(中国・ASEAN専門ジャーナリスト 舛友雄大)
中国人富裕層・知識人が、日本へ移住するケースが増えている
ここ数年、従来とは違う、新しいタイプの中国人が日本へ移住するようになってきた。
都内のタワーマンションを“爆買い”して話題になったり、インターナショナルスクールに子どもを入れたりと、中国人富裕層や、言論や表現の自由を求める知識人・文化人が、中国を離れ、日本に移り住むケースが増えてきているのだ。
こうした経済的に余裕のある中国脱出組に特に人気なのが、外国人企業経営者向けの在留資格「経営・管理ビザ」だ。
法務省が発表する在留外国人統計によると、日本でこのビザを保有する中国人は2022年6月に約1.4万人だったのが、2023年6月は約1.8万人になった。
22%増というのは、これまでにない急な増え方である。
経営・管理ビザは外国人が日本で起業するための在留資格を得られるビザだが、日経新聞などが昨年10月に「外国人の企業誘致へ要件緩和 出資金なしで2年滞在可能」と報じたように、2024年度にはさらに要件が緩和される見込みだ。
そしてこのビザの取得者の約半数を、中国人が占めているのだ。
中国人が海外へ移住する~これはいわゆる「潤(ルン)」と言われる動きで、今後ますます加速していくと思われる。
さらにこれは世界的な現象で、中国人の脱出先は日本だけではない。
今後、日本がこうした人々をどのように受け入れるのか考える上でも、世界の趨勢を把握することが不可欠だ。
2.「潤う」+「run(逃げる)」のダブルミーニング
習近平時代に増え、2022年の上海ロックダウンが後押し
「潤」とは、先進国など、より豊かな国へ移住することだ。
「潤」の字を中国の発音表記(ピンイン)で表記するとrunであることから、原義の「潤う」と英語のrun(逃げる)でダブルミーニングとなっており、お金を稼ぐ(潤う)ために海外で働くというだけでなく、国内の状況悪化に伴い海外へ逃げ出すというニュアンスがある。
本格的に流行するようになったのは、2022年に中国随一の国際都市・上海で厳しいロックダウンが実施されて以降だ。
さらに、中国政治の集権化、経済減速が鮮明になってきたこともこの動きを加速させる要素となっている。
また、「潤学」という言葉もあり、こちらは「潤」の考え方を体系的に学んだり、具体的な方法を研究したりすることを意味する。
そんな「潤」の実態が垣間見えるのが、「潤学綱領」という、「潤」を実践する有志によってまとめられたサイトだ。
「潤は中国人にとって唯一の真の宗教であり、唯一の真の哲学といえる。
それは物理的な救済を信じる宗教であり、その実質的な価値は、精神的な救済を追求するキリスト教徒に匹敵するものである。
潤の人たちはまだ潤していない人たちを助けることを喜びとし、彼らを現実の『地獄』から救う」とうたう。
その上で、中国15億人(筆者注:中国政府発表の人口は14億人あまり)のうち、年収12万人民元(約244万円)超が1億人ほどおり、そのうち約1000万人が「情報封鎖」を突破し、外部ネットワークにアクセスする条件を備えており、さらにそこから200万人の特権階級や既得利益者を除く800万人が潜在的な「潤」だと推計する。
3.政治体制で変わる 中国人の国外流出状況
実際、中国人の国外流出が鮮明になってきていることは国連の統計からはっきり読み取れる。
中国への移民から中国からの移民を引いた合計純移動数は、2012年にはいったんマイナス12万4641人まで縮小しており、つまり流出は縮小傾向にあった。
だが、習近平時代が始まって以降、流出増の方向に転じた。
国家主席の任期を5年×2期、10年を上限とする憲法の条文を削除する憲法改正を行なった2018年には、マイナス30万近くまで急増し、コロナ禍で上海ロックダウンが起きた2022年にはさらに増えてマイナス31万を記録。
そして2023年は前年を上回るスピードで流出が続いた。
まさに「中国人は足で投票している*」と言ってもいい状況になっているのだ。
*足で投票する…自分が住みたい政治体制や国家の方向性によって、国内外に出たり入ったりすること。
中国脱出の動きは資産家階級でも加速している。
投資移住コンサルティング会社ヘンリー&パートナーズは、2023年6月に公表したリポートで、2023年、中国の富裕層(100万米ドル超の投資可能資産を保有)の国外流出は1万3500人で世界最多になると予測した。
金持ちか、逆に貧しいか……
「潤」をする人々にもヒエラルキーがある
そんな「潤」の形態は多種多様だ。
日本に移住してきたばかりのメディア関係者の郭さん(仮名)は、「日本には移民国家のイメージはないが、意外に入りやすい。
ただ移民に関連する情報を希望者自身で収集するのは難しく、独自の情報源が必要だ」と語る。
確かに、私が接触した多くの「潤」の人々は、移民コンサルやSNSの情報で糸口をつかんだ人が多かった。
郭さんによると、「潤」する人にもヒエラルキーがあるという。
大富豪は脱出する方法がさまざまあるが、最も悩みが多いのは、ある程度資産があり、かつ今後の現地社会での収入源を考えなければならない中流階級なのだそうだ。
ヒエラルキーの最下層は逆に選択肢が限られており、“バックパック一つで出て“いけばいいので、悩む必要はないと解説する。
4.自分の足で歩いて中米数カ国を抜けアメリカへ入国する「走線」ルート
その最下層が主に選ぶのが、「走線」と言われるルート。
日本語では「徒歩でいくルート」といった意味になる。
一番有名なのが中米から数カ国を経て、最終的にメキシコ国境からアメリカ入りするルートだ。
今や、YouTubeやSNSで「走線」の経験をシェアする人も増えており、専門のコンサルさえ誕生している。
BBC中文版は1年前に、この「走線」について詳報している。
コロナがまだ猛威を振るっていた2021年夏にこの路線でアメリカへ脱出した、武漢出身で「90後(1990年代生まれ)」の楊金(正しい漢字は「金」が3つ)さんを取材した記事だ。
もともとカメラマンで、コロナに関係する撮影をしていたところ、公安によって派出所に連行され、殴打されたことで脱出を決意したのだという。
中米に渡った楊金さんが、一番つらかったと話すのは炎天下の密林地帯。
雨にさらされたり、夜には気温が急に下がって寒くなったり、足には虫にかまれた痕が無数にできたり……と大変な困難の末にアメリカへ脱出した。
アメリカで暮らすようになってからも配達員の仕事に就くなど苦労の絶えない楊さんだが、「ここに来たことを後悔していません。
中国にいた方が後悔したでしょうね」と語っている。
実際、米国税関・警備局によると、2023年1月~9月にかけて、米南西部国境から不法入国した中国籍の人々は2万4000人超おり、前年の11倍以上の急増となっている。
5.シンガポールやタイへ…東南アジアでも「潤」は増えている
日本やアメリカだけではない。
「潤」の動きとしてはシンガポールやタイへ移る動きも活発化している。
シンガポールはコロナに関する入国規制をいち早く撤廃したこともあり、中国人の脱出先として注目を集めた。
中国人が高級コンドミニアムなどを「爆買い」するケースが相次ぎ、現地で家賃上昇の一因ともなった。
そんな中、シンガポール政府は2023年4月に、不動産を購入する際の印紙税を引き上げ、外国人に適用される税率は従来の2倍の60%とした。
この政策が導入されて以降、中国人による「爆買い」はようやく一段落した。
その他にも、中国からシンガポールへカネが流出する動きを反映して、超富裕層向けに投資や税務などを一括で取り扱うファミリーオフィスの数が2020年の約400社から2021年には約700社へと急増した。
他にも、タイ北西部に位置するチェンマイには中国人知識人のコミュニティーが誕生しており、著名作家の野夫氏などが滞在している。
また、タイ在住の中国人事情通によると、まず到着ビザでタイ入りし、その後トルコを経由して、脱出する方法が一時期確立していたものの、最近では「潤」と分かると搭乗拒否に遭うケースも出てきたとのことだ。
去年東京に移住してきたばかりの40代の中国人男性は「トルコや小国のパスポートを買う人もいます。
CRS(共通報告基準、加盟各国の徴税機関が相互に自国民の銀行口座の取引記録を閲覧できる制度)非加盟国だと脱税ができますし、コロナ期には自由に出入りできる安心感を求めてマルタなどで生活する人がいました」と話す。
さらには、北朝鮮からの「脱北者」さながらの現象も起きるようになってきている。
2023年8月、30代の中国人男性活動家が水上バイクで中国を脱出。
山東省から黄海を隔て、320キロメートル離れた対岸の韓国・仁川の海岸にたどり着くという事件が起きた。
ゼロコロナ政策が引き金となり、中国のあらゆる階層で、「海外で自由に動けるベースを確保する」ことが最重要課題となってきている。
「潤」は世界各地で同時に起きている一大潮流なのだ。
中国、そして世界各国の状況を踏まえつつ、日本はどのように彼ら彼女らと向き合うのか。
本格的に議論すべき時がやってきているといえそうだ。
https://diamond.jp/articles/-/337495