「日本人はモルモット」ワクチンのデマを流す立憲・原口一博議員を製薬会社が提訴へ。過去には“生物兵器まがい”との発言も

ワクチンをめぐるデマで、ついに現役の国会議員が提訴される事態になった。新型コロナウイルスのワクチンを製造販売するMeiji Seikaファルマは、このほどの衆院選で10期目の当選を果たした立憲民主党・原口一博氏を名誉棄損で提訴するという。いったい何が起こっているのか。

国会議員が訴えられる異例の事態に
新たなワクチンへの「デマ」をめぐって騒動が起きている。

新型コロナウイルス変異型対応ワクチン「コスタイベ筋注用」(通称レプリコンワクチン)の製造開発を手掛けた医薬品メーカーMeiji Seika ファルマは、ワクチンに対して「繰り返し科学的根拠のない誹謗中傷を受けた」として立憲民主党の原口一博氏を名誉棄損で提訴する方針だという。

同社は9月25日の記者会見でもワクチンの治験のプロセス、安全性のデータなどを示したうえで、ネット上の不確かな情報の流布に釘を刺し、その源流となっている団体などを訴えていく方針を示していた。

これに追加する形で、自社製品であるワクチンへの科学的根拠のない言説を吹聴しているとして、ついに元総務大臣でもある代議士の提訴に踏み切る。

原口氏は先の衆議院議員選挙で佐賀1区から出馬して10期目の当選を果たしたばかり。

この選挙期間中、レプリコンワクチンを指して、選挙ビラや公報に「未知のワクチンが日本にだけ許可されるということは、まさにモルモットにされている、といっても過言ではありません」などと記していた。

政見放送や街頭演説などでも同様の主張をしており、選挙前に発売された著書の宣伝文にも「レプリコンワクチンの実験台となるのは日本人!?」「激増するワクチン死」などと不穏な言葉が記されている。

レプリコンワクチンは、従来型の新型コロナワクチン(mRNAワクチン)よりも少量の接種で効果が長く続くように改良されたもので、Meiji Seikaファルマが研究機関などと連携して日本国内でも治験を実施。安全性と有効性が実証されて製造販売承認を得た。

しかしネット上の一部のアカウントなどが、この次世代型ワクチンを批判の標的にしてSNSに根拠の薄い投稿を流し続け、都内にあるMeiji Seikaファルマ本社前での抗議活動まで行なってきた。

そうしたアカウント群に影響を与えているのが他ならぬ原口氏だ。

自身が罹患して昨年に寛解を報告した悪性リンパ腫も「ワクチン接種が原因」などと主張。ワクチンを否定する層の多大な支持を得て、Xのフォロワー数は約37万人と国会議員の中でも突出している。

原口氏は「逆に刑事告発する」
レプリコンワクチンに関するデマの代表例は、「シェディング」と呼ばれる現象で、「接種者から出た物質が非接種者に感染する」というもの。

これはmRNAワクチン接種が進んだ際にも一部で広がった説でもある。

それを言うなら新型コロナウイルス感染そのものを危険視しないのはなぜなのか理解に苦しむが、それはさておき、恐怖心を煽られて話が広がっていったとみられる。

mRNAワクチンはウイルスそのものを使っているわけではないので、体内で感染力を持ったウイルス粒子が作られるようなことはあり得ない。

接種により作られたスパイクたんぱく質が体内に長く留まることはない。体外に排出されて被害が出るなどの事実もなく、人から人へ伝播(でんぱ)する現象を実証できないことは厚労省などの報告でも分かっている。

日本感染症学会、日本呼吸器学会、日本ワクチン学会もシェディングの存在を否定している。(資料1、2、3)

しかしながら、「何が起こるか分からない」と言われれば恐れる人がいるのも仕方がないこと。

ごく一部の荒唐無稽な反対意見に迎合する研究者、大学名誉教授、配信者らが、厚労省などが説明してきた公的な見解にはないようなもっともらしい「仮説」を流してきた。

レプリコンワクチンの特性である「自己増殖型」という言葉からも、まるで制御ができなくなるイメージが膨らむようになって、ネットを主戦場とするワクチン反対論者の間で話に尾ひれがついていった。

それらが、原口議員らインフルエンサーによって「危険なのではないか」と拡散されているのが現状である。

不確かな説がネット上だけに収まるはずもなく、現実でも「レプリコンワクチン接種者お断り」などと入店拒否を表明する店舗なども多く出てしまった。

そして、接種を請け負う医療機関への誹謗中傷や抗議文の投函などは今も相次いでいる。

今年10月初旬には、ワクチンに反対する主張で知られる参政党に所属する所沢市議が、医療機関に抗議の電話をかけて診療を妨害したとして謝罪する騒動にもなった。

2022年にワクチン接種会場を襲撃して多数の逮捕者を出した「神真都(やまと)Q」などの事例もあり、警察や公安も、集会を開催するようなワクチン反対派の集団をマークし続けている。

そうした集団として、このところ国内で主流となっているのは、作家や医師、市議会議員らが中心となって勢力を拡大したグループだ。

何を隠そう原口氏もそれらが主催する集会などに精力的に顔を出し、「生物兵器まがいのものを止めようじゃありませんか」との内容のスピーチをしたり、デモ行進に参加したりしている。参加できない時にはビデオレターを送るなどの念の入れようだ。

このような原口議員の言動について、多くの人が立憲民主党にも公式な見解を求め、抗議している。だが、全てスルーされてしまっているのが実に不思議なことだ。

立憲民主党は今回の衆院選でも原口氏を党として公認しただけでなく、比例名簿にも登載した。このほどの製薬会社に訴えられてしまうような言動さえも容認しているのだろうか。

当の原口氏本人は、Meiji Seikaファルマからの提訴の方針が報じられてネットに広がった後、選挙演説の中で強気に「逆に刑事告発する」「徹底的に戦います」などと発言していた。これにはネット上の“同志”たちも沸いているようだ。

10月1日から定期接種の対象にもなり、その技術や生産力が医療革新にも繋がると期待される新たなワクチン。

それに付きまとう反対勢力は、今後どういった行動に出るのだろうか。ベテラン国会議員がワクチンについての非科学的な主張で製薬企業に提訴されるという異例の事態が、どのように発展するか注目したい。

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集英社オンライン

https://shueisha.online/articles/-/251959

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